あなたは、小学生にソフトボールを教えるのなんて、簡単だと思っていませんか?
私も最初はそう思って、コーチを引き受けました。
でも、実際に子供たちに指導してみると、それが大きな間違いであったと気付いたのです。
もしあなたが、これから自分の子供が通うソフトボールチームの監督やコーチを引き受けようと思っているなら、いくつかの「心得」を覚えておくことをおススメします。
この知っておくべき「心得」は3つあります。この3つを知っておくだけでも、子供たちの指導が変わります。
1.指導者としての心得
まず一つめの心得として、「指導者としての心得」というものがあります。
指導者としての心得とは「子供たちへの深い愛情」です。
何よりも、愛情をもって接することが大切です。
勝ちにこだわり過ぎて、それこそその子の人格を否定するような暴言を吐く指導者も中にはいます。
そんな叱責を受けた後に、その子は最高のプレーが出来るのでしょうか。はなはだ疑問が残ります。
「叱るときも褒めるときもみんなの前でを旨とする」と言ったのは、プロ野球の闘将といわれた星野仙一さんです。
ただし、その言葉の中には「次に頑張ってほしい」という愛情がこもっているということです。
指導者という立場で考えれば、相手が大人でも子供でも同じです。褒めるのも叱るのもみんなの前で愛情をもって出来るようにしましょう。
ここで少し付け加えたいことがあります。
「小学生は褒めて伸ばす」と、小学生をひとくくりにしている意見も良く見られますが、それは大きな勘違いということです。
低学年と高学年で指導の仕方が違うのは当たり前のことです。
理解できる範囲が違うし、ボールを投げるということだけでも出来る内容が大きく異なります。
- 高学年には、理解を促しつつ、叱るところはしっかりと聞かせること
- 低学年には、出来ることを伸ばしてソフトボールの楽しさを教えること
同じ小学生でも、子供の成長を見ながら指導を変えていくことが必要となっていきます。
出来ない理由を見つけてあげる技術を磨く
よくありがちな、「なぜ、○○○が出来ないんだ!!」と大声で怒鳴る人がいますが、こんなことで怒られても子供たちは理解できません。
なぜ出来ないのか、分かっていないからです。
監督やコーチの能力として、「なぜ出来ないか」の理由を見つけてあげることが必要だと思います。
出来ない理由が分かれば、それを克服するような練習が出来ます。出来ないことが出来るようになれば、面白くなり更に練習をするようになります。
そんな良い循環を作ってあげるのも、指導者の役割だと思います。
常に勉強する
人に何かを教える立場にあるなら、常に学ぶことが必要です。
今は、練習中に水分を取ることが推奨されていますが、昔は汗が出るという理由で練習中は水分を取ることが出来ませんでした。
今考えれば、とんでもない理由ですが、それが信じられていた時代が実際にありました。
時代と共に研究が進み、常識が非常識になることもあります。
また、全ての子供を同じ理論で上達させていくというのは無理があると思いませんか。一人ひとりに合った練習法が必要な時もあります。
少しでも自分の引き出しを多くするためにも、常に学ぶ姿勢を忘れないようにしましょう。
褒めるより「認める」ことが大切
子供たちは、褒めることより認めることの方が大いに喜んでくれます。
人は誰かから認めてもらいという欲求があるといわれていますが、子供も例外ではありません。
褒めるとは一瞬の出来事に対しての感動の表現ですが、認めるというのは、その子の今までの努力を称賛していることになります。
エースとして、チームの大砲として、守備の要として、またチームの大黒柱として認めてあげることが、子供たちにとって一番のご褒美なのだと思います。
2.大人としての心得
二つ目の心得として、「大人としての心得」があります。
大人としての心得とは、「大きな声であいさつをすること」です。
子供たちには、「あいさつをしろ」「しっかり声を出せ」とどれだけ口を酸っぱく怒っても、当の本人があいさつもしないような監督やコーチであれば、子供たちがするわけがありません。
子供たちは、大人の行動をよく見ています。
子供たちに言う前に、まず自分からお手本を見せていくようにしましょう。
4.親としての心得
三つめの心得として「親としての心得」があります。
それは、「えこひいきをしない」ことです。
親の心情としては、自分の子供が活躍する姿を見てみたいというのがありますが、練習中に自分の子供だけを相手にしてしまうのは、指導者として失格です。
親とはいえ、チームでは指導者という立場なので、全ての子供が活躍できるように指導をしていきましょう。
また、逆に自分の子供だからどれだけ厳しくしてもいいかというと、それも絶対にしてはいけないことです。
大声で怒鳴り散らしたり、いつも厳しくしていては、その子もやる気をなくしてしまうし、周りも楽しくはないでしょう。
ついつい、厳しくなることはありますが、必ずフォローをしてあげて下さい。
怒ると叱るは似て非なるもの
怒ると叱るは同じように思いますが、全く違います。
「怒る(おこる・いかる)」とは、自分の感情をそのまま相手にぶつけてしまうことです。
ちょっとしたプレーで怒声を発する指導者は、どちらかというと怒っています。
「叱る(しかる)」とは、相手のためを思って強く注意を促すことです。
子供たちは褒めて育てるということが、メディアで取り上げられたりしていますが、実際の現場では怒ったり叱ったりが日常茶飯事です。
怒るのは、子供たちの心を傷つけてしまう恐れがあるので、絶対にいけないことですが、怠慢でやる気のないプレーやケガをするような恐れのある無茶なプレーをしたときは、その場で叱ってあげることも必要です。
愛情をもって叱ってあげれば、子供たちも必ず理解してくれます。
「怒る」と「叱る」をしっかりと見極めて、子供たちを指導していきましょう。
まとめ
小学生のソフトボールの監督やコーチとしての心得のまとめとして、
- 指導者として
- 大人として
- 親として
この三つを大きく分けて解説してきました。
もちろん、これが正解なわけでもなく、調べればもっとたくさんの心得が出てきます。
しかし、自分が関わてってきた子供たちを見ていると、最低限、これくらいの心得は必要だと感じました。
根本には、子供たちにソフトボールを通じて、みんなで勝つ喜びや楽しさを感じてほしいという想いがありますが、時折、勝ちにこだわり過ぎて、子供たちの心を無視してしまうことが無いように、この心得を忘れないようにしてほしいと思います。
最後に、「心得」として覚えておいてほしい、連合艦隊司令長官だった山本五十六の言葉です。
やって見せて、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやらねば、人は動かず。
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