ソフトボールの歴史

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ソフトボールの歴史

さて、ソフトボールはいつから始まったスポーツなのでしょうか。

ソフトボールの起源は、12~13世紀頃からイギリスで行なわれた「クリケット」と考えられています。その後、クリケットの簡易版スポーツである「ラウンダーズ」がアメリカに伝えられました。19世紀後半には、現在の「ソフトボール」の原型である「プレーグランドボール」や「インドアベースボール」という名称で誕生しました。

ソフトボールの前身のいくつかのゲームのうち、今日知られている最も古いものが「インドアベースボール」です。インドアベースボールは、1887年にアメリカ合衆国シカゴのファラガット・ボートクラブのジョージハンコック氏(G.Hancock)が、クラブの体育館でクラブ員たちがボクシングのグラブをボールに、ほうきをバットにして、野球のまねごとに興じていたのを見て、クラブ員の冬の運動のためにルールを考案したとされています。

「ソフトボール」という名称は1926年にアメリカで考案されました。考案したのはコロラド州デンバーのYMCA主事であったウォールター・ハケンソン氏(W.Hakanson)です。そして、1933年に「アマチュア・ソフトボール協会」が設立されました。

アマチュア・ソフトボール協会は、従来からこの種の競技の普及に携わっていたYMCA、全米大学競技協会、アメリカ体育協会からなる「ソフトボール合同委員会」を組織し、ルールの標準化を実施。アマチュア・ソフトボール協会が設立された翌年の1934年に標準ルールが制定されました。

日本でのソフトボールの歴史

日本で「ソフトボール」の名称が採用されたのは、第2次世界大戦後の1946年であり、当時は日本軟式野球連盟の中に「ソフトボール部会」が置かれました。当初はもっぱら女性の競技として扱われていたようです。

1949年に「日本ソフトボール協会」として分離独立し、日本体育協会に加盟しました。そしてこの年(1949年)に、「第1回全日本高校女子ソフトボール選手権大会」と「第1回全日本一般女子ソフトボール選手権大会が開催されました。翌年の1950年には、国民体育大会の正式種目とされましたが、この当時も女子のみの競技として行われています。

男子のソフトボール競技は女子の大会開催から5年ほど遅れて、1955年に全日本一般男子選手権が開かれ、国民体育大会では、1957年より一般男子の部が行われています。

日本におけるソフトボールは、その歴史を見てみると女子がリードしてきたんですね。中学校や高校では男子ではなく女子ソフトボールが盛んです。そこには、このような歴史的背景が影響しているといえそうです。

ソフトボールと野球の違いとは

ソフトボールと野球はとても似ています。いわゆる「ベースボール型」といわれるスポーツなのですが、何が違うのでしょうか。

使う道具の違い

ボールの大きさが違う

まずは、ボールの大きさが違います。ボールの種類はゴム製と革製の2種類がどちらにもありますが、ソフトボールは野球のボールと比べてかなり大きな作りとなっています。

左が野球の硬式球で右がソフトボールの3号球
左が野球の硬式球で右がソフトボールの3号球

また、ボールの大きさは、1号球、2号球、3号球に分類されており、以下の通り用途が異なります。

  1. 3号球は中学生以上の一般用で周囲が30.5cm
  2. 2号球は小学生向けで周囲は28.6cm
  3. 1号球は小学校低学年向けで周囲は26.7cm

バットの太さが違う

野球のバットは、手元のグリップうから先端まで徐々に太くなりますが、ソフトボールのバットはバットの途中から一定の太さになっていて、野球のバットよりも細いのが特徴です。

ソフトボールのバットは野球よりも細い

ソフトボールのバットには、「ゴムボール用バット」と「ゴム・革製用バット」があります。

素材も、金属からカーボン、FRP(繊維強化プラスチック)製などがあり、重さも様々なものがあります。ただし、重さは全て1.08kg以内、と定められています。

先ほどのボールと同じく、1号から3号までのバットがあり、それぞれバットに明記されています。

うちのチームでは、ミズノ社製の「ビヨンドマックス」が人気ですね。

プレースタイルの違い

リードが出来ない

ソフトボールの塁間は、野球と比べると2/3しかありません。

小学生のソフトボールになると、更に塁間が短くなり16.76mとなっています。一般の塁間が18.29mなので1.5mほど短くなります。

塁間が短いため、ソフトボールでは野球のようなリードが出来ません。ソフトボールは、ピッチャーの手からボールが離れるまで塁から離れてはいけないというルールがあります。

ソフトボールでは「リード」が出来ません
ソフトボールでは「リード」が出来ません

 ピッチャーの違い

野球にはピッチャーマウンドがありますが、ソフトボールにはマウンドがありません。その代り「ピッチャーサークル」があるので、ピッチャーはそのサークルの中で投球する必要があります。

また、ソフトボールは下手投げと決められていて、これが野球と大きな違いになっています。

下手投げにもスリングショットやウィンドミルといった投げ方や様々なルールがありますが、詳しくはオフィシャルルールをご覧ください。

マウンドの代わりのピッチャーサークル
マウンドの代わりのピッチャーサークル

ホームベースとの距離も、野球の投球距離が18.44mであるのに対し、ソフトボールでは男子14.02m、女子13.11mとなっています。小学生はさらに短く10.67mなので、身体の大きな小学生が投げると大人でも意外と打てないものです。

一塁がダブルベース

これも、野球との大きな違いです。

ソフトボールでは、塁間が短いため一塁でのクロスプレーが非常に多くなります。接触によるケガや事故を防止するため一塁に限って「ダブルベース」をソフトボールでは取り入れています。

ただ、その分ダブルベース上での特殊なルールがあるため、野球しか経験のない人だと少し戸惑うかも知れません。

ここも、オフィシャルルールでしっかりと規定されていますので、正しいルールを覚えておきましょう。

ダブルベースは、白とオレンジに色分けされています
ダブルベースは、白とオレンジに色分けされています

一度交代したメンバーが再度プレイできる

野球では、ピッチャーのワンポイントリリーフのように、外野とピッチャーが交代するという場面が高校野球などで見られますが、通常、一度フィールドでプレイしたメンバーは交代してベンチに下がると再度プレイ出来ません。

しかし、ソフトボールではスターティングメンバーであれば、一度ベンチに下がっても再度プレイできる「リエントリー制度」が導入されています。ただし、リエントリーはスターティングメンバーに限り一度だけです。

特殊な延長戦

ソフトボールの公式では、イニングは7回までと決められています。

この7回で決着がつかなければ延長戦となるわけですが、野球違いソフトボールでは「タイブレーカー」を導入しています。これは、8回の攻撃を無死・走者二塁から始めるというものです。

小学生の試合では、7回まで行うことはありません。全国大会は別ですが、主な地方の大会ではイニングが5回か50分という時間の制限を設けていることがほとんどです。

体力面もあると思いますが、技術的にまだまだ成長段階であるため、1回の攻撃が30分近くかかることもあります。

それでも、みんなが一生懸命プレイしてくれるのが一番だと思いますので、正しいルールを身につけて大人も子供も一緒にソフトボールを楽しみましょう!

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