今や、運動中の水分補給は当たり前のことになりましたが、正しい水分補給の方法や熱中症について詳しく理解していない指導者が多いのも現実です。
子供たちに正しい知識を伝えるため、また、選手が熱中症になったときにどう対処すれば良いか、指導者として理解しておくようにしましょう。
熱中症とは
熱中症とは、暑さが原因で起こる脱水症状のひとつです。
脱水症状といっても大量の水分が減っているわけでなく、体内にある水分の60%のうち、たった3%減るだけで強烈なのどの渇きを訴えるようです。
また、熱中症といってもいろんな症状があり、対処方法も変わるので詳しく解説していきます。
熱疲労
一般的に熱中症の症状として知られているのが熱疲労といわれる状態です。
大量に汗をかくことで、体内の水分量が不足することで起こります。
水を飲んでも脱水が回復せず、症状も回復しません。
熱痙攣を同時に起こすことが多く、運動中に良く起こる症状です。
症状
熱疲労の症状としては、
- 脱力感
- 倦怠感
- めまい
- 頭痛
- 吐き気
などです。
処置
熱疲労が起こったときの処置方法です。
- 涼しいところに寝かせて、衣服を緩める
- 足を高くして、体の中心に向かってマッサージ
- 0.2%ほどの食塩水、スポーツドリンク、経口補水液を補給(冷えたもの)
- ※吐き気などで水分補給が出来ないときは、病院で点滴を打ってもらう
熱疲労が起こったときは、まず水分とナトリウムを補給すること。そして、体内にこもった熱を下げることが必要です。
熱痙攣
熱痙攣とは、大量に汗をかいたときに、水だけを補給したため血液の塩分濃度が下がり、筋肉が痙攣を起こすことです。
汗は、水分を一緒に体内のナトリウムも排出します。つまり、水により体内のナトリウムが薄められることで起こる症状です。
症状
筋肉の痙攣により、足や腕、腹部に痛みが出ます。
処置
熱痙攣は水分の補給は出来ていますが、体内のナトリウム濃度が下がっているので、生理食塩水(0.9%)か経口補水液を補給するようにしましょう。
熱失神
暑さのため血管が急激に拡張し、血圧が一気に下がるため脳の血流量が少なるなるために起こる症状です。
お風呂の中での立ち眩みに似ているかもしれません。運動後に、良く起こるといわれています。
症状
熱失神が起こったときの症状としては、
- めまい
- 失神
- 顔面蒼白
- 唇がしびれる
- 早くて弱い脈拍
- 血圧の低下
などが上げられます。
処置
応急処置としては熱疲労と同じで、
- 水分とナトリウムの補給
- 足を上げて血液を足から頭に上げる
- 体内の熱を冷ます
などがを行います。
熱射病
熱射病も熱中症のひとつですが、暑さにより体温が急上昇(40度以上)して起こります。
他の症状と比べると命に関わる重大な症状です。
早急に適切な処置が必要ですので、覚えておきましょう。
症状
- 意識障害:応答がない、言語がおかしい、意識がない
- 全身臓器の血管が詰まるため、臓器障害などの合併症が起こる
- 最悪の場合、死に至る
処置
- 早急に救急車を呼ぶ
- 足を高くして、体の中心に血液を戻す
- 頭や首の後ろ、脇の下や足の付け根など、身体を冷やす
暑さで倒れたときは迅速な対応が必要ですので、意識がないと思ったらすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
正しい水分補給とは
水分補給といっても、水やお茶だけを摂っていれば良い訳ではありません。
特に運動をしてる子供たちにとって、夏場は大量の汗をかくため脱水状態によってパフォーマンス低下を引き起こすこともあります。
水分だけでなく、塩分や糖分も補給させてあげましょう。
運動時の水分補給のポイント
運動時の水分補給のポイントとしていくつかあげていきます。
- 汗で失った量と同じ量の水分を補給する
- 体重の2%以上の水分を失わないようにする
- 一度に大量に補給せず、こまめに水分を摂る
- スポーツの前後と途中に水分を補給する
- ナトリウムやカリウムなどの電解質も摂るようにする
小学生のソフトボールでは長時間の試合とかはあまりないので、極端に体重が減るほど水分を失うということはありませんが、こまめに補給するように指導をしてあげてほしいと思います。
スポーツドリンクと経口補水液の違い
テレビのCMでも見かける、「経口補水液OS-1」とポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツドリンクは、同じように見えますが内容も使うタイミングも違います。
どう利用すればよいか、詳しく解説していきます。
スポーツドリンクとは
スポーツドリンクは、ナトリウムなどの電解質よりも糖質が多く含まれており、何よりも飲みやすいことが特徴です。
ポカリスウェットを飲んだことがある人なら分かると思いますが、かなり甘さを感じると思います。その分、たくさん飲めるので脱水症状の予防として、スポーツドリンクは最適です。
経口補水液OS-1とは
経口補水液OS-1がスポーツドリンクと違うところは、脱水状態において不足している電解質(ナトリウムなどの塩分)を補うために、スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、また水と電解質の吸収を速めるために、スポーツドリンクと比べて糖質が少ないのが特徴です。
ナトリウム濃度が高いということは、一般的なスポーツドリンクよりも飲みにくいため、普段の水分補給として飲むよりも、熱中症になってからの水分補給として利用するのに向いています。
まとめ
熱中症は真夏だけでなく、気温や湿度の高い時期にも起こりやすい症状です。
水分をこまめに摂ることも必要ですが、ご飯をしっかり食べる、睡眠をしっかりとることも必要です。
そして、練習中や試合中の子供たちのサインを見逃さないようにすることが、指導者として一番大事だと思いますので、普段と違うなと思ったら、すぐに声かけをするようにしていきましょう!
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